刺し子 の未来を見据えて。

 

「Sashi.Co」の二ツ谷恵子と、大槌刺し子の皆さんが一緒に 刺し子 作品を作る。

僕たちが、前職で大槌刺し子と関わっていた時から抱いていた「いつか一緒に刺し子をしたい……」という夢。遠い未来に夢見ていたことが、思っていたよりも早く現実になりました。

大槌復興刺し子プロジェクトに、二ツ谷恵子がプロデューサーとして関わり、新プロジェクトがスタートします。

 

魚(物資)よりも、釣り竿(手段)を

という支援の気持ちと共に有志の方々によって立ち上げられた大槌刺し子プロジェクト。当時、飛騨さしこという刺し子専門店の三代目として働いていた僕は、プロジェクト立ち上げ初期に関わらせて頂いていました。

大槌刺し子プロジェクト〜趣旨

 

「刺し子が人様のチカラになれる」

大槌刺し子のウェブサイトを見ながら、当時の日々を思い出すと胸にこみ上げてくるものがあります。大槌刺し子には、それだけのチカラと可能性があるのです。2011年11月に初めて現地を訪れ、その後2012年の始めに数ヶ月滞在し、今こうして改めて大槌刺し子と関われることになって私も本当に嬉しく思います。

大槌刺し子の動画

 

あまり感傷的になってしまうと、大量に文章を書いてしまう僕の悪いクセがあるので、今回は端的にどういうプロジェクトをしようとしているのかを報告&紹介します。

 

【プロジェクト名称】

(仮)大槌刺し子 100個バッグプロジェクト

【プロデューサー】

二ツ谷恵子(Sashi.Co

大槌復興プロジェクト(NPOテラ・ルネッサンス 運営)

 

【プロジェクト趣旨】

大槌の刺し子さん一人一人の包括的な刺し子技術向上の為、各個人が責任を持って一作品の刺し子を仕上げます。まずは100個を目標に。

(参考:二ツ谷恵子がSashi.Coとしてプロデュースしたバッグの一覧

 

【プロジェクト概要】

二ツ谷恵子の刺し子バッグ制作経験(古布利用 / 一点モノ作品)を活かし、大槌刺し子を通して100個の一点モノバッグを制作します。

  1. 大槌の刺し子さん一人が、一つのバッグ制作を担当。(刺し子さんによっては複数のバッグを作る可能性はあります。)
  2. 品質の良い布を使い、また草木で染めた刺し子糸を使うことで、刺し子の価値を高める作品を制作。刺し子の量もふんだんに。
  3. 継続可能(再現可能)なプロジェクトとなるように、二ツ谷恵子のプロデューサーとしての知識や経験も大槌に共有。
  4. 作品制作の為の準備、及び仕立てはSashi.Coにて行い、大槌刺し子ではバッグ作りに必要な刺し子作業を担当。

 

刺し子作品を制作するにあたり、刺し子そのものの技術が一番大切なのは言うまでもありません。

しかしながら、刺し子の技術だけが高くても作品が作れないのが刺し子で仕事を成り立たせる際の難しい点だと思っています。「0→1」の段階に持っていけるプロデューサーの存在がとても大事になってくるのです。

 

Sashi.Coにおいてプロデューサーとしての仕事が増えてきている二ツ谷恵子だからこそ、大槌刺し子に伝えられるものがある……そう考えてこのプロジェクトを企画しました。バッグが形になるのが楽しみで仕方ありません。

 

【プロジェクトへの想い】

 

*以下は二ツ谷恵子と共にこのプロジェクトを企画運営している僕(淳)の個人的な気持ちです

2011年3月の東日本大震災から、もう既に4年と8ヶ月弱が過ぎました。

今、「被災地支援」という言葉は、少し違和感があるかもしれません。メディアでの被災地の報道機会は少なくなったし、何かが絶対的に足りていないというわけでもないと思うのです。ただ、これは現地に住んでいない僕が感じてしまっていること。実際に被害に遭われた方々は、まだ震災後の生活の中で苦しみを抱いているのだと思うのです。

 

大槌刺し子は、ある意味では、大きな目標を達成したと思っています。

「魚(物質)よりも釣り竿(生活の手段)を」という目的と同時に、大槌に住む方々が集まれるコミュニティーを刺し子を通して作りたいという理想がありました。最初は限られたスペースしかない避難所で、何かできる仕事はないかと有志の方々が一生懸命考え、答えとして出てきたのが刺し子でした。

 

その後、刺し子会と呼ばれる集まりは今日まで続いています。

これは既に、大槌刺し子を立ち上げ、運営している関係者の大目的は達成できていて、大成功しているのだと私は思うのです。あとは、このプロジェクトを如何に継続可能なものにしていくのか。そして10年、20年と続くような産業にしていけるのか。

 

その為には大槌刺し子存続に必要な経費を賄う必要があります。潤滑油としてのお金がどうしても必要なのです。そして、今後、継続可能な制作活動をしていく為には、「刺し子作品を作り出す」という能力が必要です。

 

ご縁とは面白いものです。

その「刺し子作品を作り出す」というコトに人生の30年以上を捧げてきた二ツ谷恵子が、不遇を乗り越えて刺し子ブランドを立ち上げた、その同じ年に、また大槌刺し子とご縁を頂けることになったのですから。

 

【今私たちに必要なもの】

「被災地復興支援」とは少しちがう、「震災後のコミュニティ継続の為」の支援が、皆様から必要な状況にあります。このプロジェクトへの具体的な支援の形として、私が前職時に前社長と共に企画&運営していた「支援糸」を再開しようと思っています。

”大槌刺し子 100個バッグプロジェクトへの支援糸のお願い”

 

ビジネスとしての一般論で言えば、大槌で刺し子商品を作り、その売り上げでプロジェクトが運営できれば一番です。その為には業務効率の改善も必要でしょうし、商品力も必要です。しかしながら、「既に作り上げられた幸せなコミュニティ」を壊してまで、利益を出す為の効率を追求したり、商品力を高めたりすることは、僕(たち)にはできません。

 

刺し子作品は、ほぼ手作業によって作られます。

製造工場の生産ラインの様な、「労働力」という概念はできるだけ持ち込みたくないですし、厳しい納期を設定したり、工賃(刺し子代)を下げる交渉をするのも話がズレてきます。製造業で納期がなく、また工賃単価の引き下げができない状況で、利益を上げることはとても大変な課題です。

それでも、今は大槌刺し子はこのままでいいと思うのです。今この時点では莫大な利益を上げることが目的ではなく、プロジェクト運営に必要な潤滑油としての利益(一般管理費を捻出できるだけの営業利益)が出れば、それで目的は達成されます。

 

「既存の幸せ」を歪めないように、且つ継続できるだけの利益を出す。

きっと多くの震災復興プロジェクトが抱えている問題だと思うのです。震災後5年、10年過ぎて形が残っているプロジェクトは、きっと今、今まで作り上げてきたものの「継続」が一番の課題だと思っています。その上で、大槌刺し子に必要なこと。大槌刺し子にできること。それを考えた時の結論が「100個バッグプロジェクト」でした。

 

NPO法人テラ・ルネッサンスの継続的な支援に加えて、二ツ谷恵子による多少の材料現物出資により、100個バッグは動き出しています。しかしながら、現段階で、「使用する刺し子糸代」の予算が配分できずにいるのです。

一点もので且つ色合いの美しい優しい作品を作る為に必要な糸は、どうしても手で草木染めする糸でしかならず、その為の費用も糸だからといって無視できない金額になっています。

(目標300カセ。金額にして訳21万円分の予算が必要だと考えています。)

 

皆様からのご支援、350円からのご支援を、是非お願いできないでしょうか?

 

 

【最後に】

もともと、手作業で行われる「刺し子」でビジネスを成り立たせることが至難の技です。スケールメリットも期待できませんし、高い成長力も期待できません。

私自身、当時社長だった父親に、刺し子業という家業に呼び戻された後も、「刺し子」に人生を捧げていいものなのかと存在意義に悩んだ日々もありました。

そんな時に大槌刺し子と出会い、元世界銀行副総裁の西水美恵子さんが表現された「大槌の観音様(刺し子さんたち)」と出会い、一緒に仕事をする中で、僕の役割というものをしっかりと感じることができたのです。

 

私自身山あり谷ありの人生の中で、家業としての刺し子業からは離れざるを得なくなってしまっていますが、それでも一緒に家業を離れた母親が始めた刺し子業(Sashi.Co)を通して、もう一度大槌の皆様と関われることを、とてもとても嬉しく思っています。

 

私の日々の動きが、”大槌に既に存在するコミュニティ”の継続の役に立てるのであれば、本望です。最後に大槌刺し子と深く関わって(滞在して)から3年。私の離職に伴い支援糸を中止せざるをえなくなってしまってから1年半。

 

大槌と、私の故郷である飛騨を、刺し子糸で皆様と一緒に繋げるという夢は、ここに再開できそうです。もともと、私と当時の社長である私の父親の独断で始めたようなこの支援糸。私が引き継いで、800kmを繋げられたらと思うのです。

*2013年11月末の時点で、飛騨さしことしての支援糸は終了しました。その時点で2,532口にも及ぶご支援を頂き、距離にして約370kmの糸の分量です。大槌と飛騨の直線距離が約800km。これを皆様と一緒に結ぶのが、私の震災復興支援の一区切りだと思っていたので、こうして再開できるのが本当に嬉しいです。

 

 

大槌刺し子、そして新しく始まる100個バッグプロジェクトと、そのプロジェクトへの支援糸。

どうぞ暖かく見守って頂ければと思っています。

 

 

 

 

 

 

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