刺し子な福袋 2023年への思い

本当に時間が過ぎるのは早いもので、もう2022年も年末を迎えようとしています。今年も「刺し子な福袋」を準備することができました。福袋そのものの企画は今年の1月から始まっていて、糸や布の余り物処分の福袋というよりは、「今年に挑戦したいことは何か」という年始の抱負の形の一つとしての福袋になりつつあります。何はともあれ、今年も形にできたこと、ほっと一安心しております。

個人的な話になりますが、今月12月の1週目の終わりから、体調不良の為お休みを頂いておりました。2022年の後半からずーっと微妙な体調不良は続いていたのですが、その不調に目を瞑りつつ日々の仕事はできていた為、騙し騙しの日々だったのかもしれません。今回の12月は、熱がしっかり出て、胃腸も絶不調だったので、ここぞとばかりにしっかり休むことにして大半の時間を横になって過ごしておりました。活字を読み出すと睡眠時間を削ってでものめり込んでしまう読書もせず、刺し子がしたくなってしまうという理由で動画もテレビもつけず、歌いたくなったり楽器に触れたくなる衝動も考慮して音楽も聞かず、2週間の間できるだけ大人しく無言の中でひたすら自分と向き合うようにしました。僕が個人的に定義する「休む」という覚悟でもあるので、「無理をすれば動ける」ことを承知で休暇を頂きました。その為、本来であればクリスマス明けには販売開始をしているはずの「刺し子な福袋」、今年は年末ギリギリの12月30日(金曜日)の夜の販売開始の予定としております。「体調第一だよ」との温かい言葉を頂きつつ、恵子さんの一年の思いを形にすることは一つの大きな責任でもあるので、販売できることを心より嬉しく思っております(繰り返しになりますが、ほっとしているというのが本音です)。

福袋、今年は3種類準備しました。それぞれにテーマがあり、内容もガラッと違ってきます。内容物や値段等の詳細は以下のまとめよりご確認頂けますようお願いいたします。各福袋の販売ページにも、下記のまとめから飛んで頂けます。

刺し子な福袋 2023年に向けての販売はこちらで

刺し子な福袋 2023年への思い

インスタグラムYoutubeの配信を通してご縁を頂いている方々から頂いている応援に甘えて、私達だけではなかなか形にできないことに挑戦してみよう…という流れが、ここ数年の刺し子な福袋です。基本的に母と子(恵子さんと私)の二人で行っている活動で、日本国内だと恵子さんの個人事業という形式なので、なかなか大きなことには挑戦ができません。例えば、様々な草木染めの色を試してみたいという希望があっても、無計画に気が向くままに糸を染め続けることは、現状では「怖い」です。(不可能じゃないし、なんとかなるかもしれないという気持ちもあるのですが、不安と恐怖が半端ないという意味で)。

そんなわけで、今年も私達二人だけではできないこと、皆様からの応援を頂いているからこそできることに挑戦してみました。

藍染めの「間」

恵子さんが草木染めを始めた当初は、「目の前にある古布に合う色を作り出すこと」が目的だった為、毎回条件を変えて様々な色を作っていました。2013年以前の「組織に属した状況」の気分のまま染色を続けてしまった為、お金の問題が出てきてしまい、その結果「染色した刺し子糸を定番品として販売してみよう」という決定が今の草木染め刺し子糸の販売に繋がっています。お金を頂いて染色をする以上、「色の担保」は必要だと私は考えていて、「毎回違う色」が出てしまうのは手染めの草木染めの特徴としてある程度は許容されるとしても、染色する側が「継続性と再現性」を求めないようでは販売はできないという条件の中で、刺し子糸の販売を始めました。もちろん、経験が浅い内は(あるいは条件が変わるときは)継続性も再現性もない糸も染まってくるので、それを皆様のご意見と共に形にしたのが、「無番の刺し子糸」というものです。

2022年は「藍染め」の色に挑戦することにしました。これまた販売の都合上で、「濃い藍色(A-1)」と「淡い藍色(A-2)」に限定して、その二色の継続性と再現性を意識して過去5年、糸を染め販売をしてきました。ただ、藍染めは「濃淡」で完結するような染色ではありません。一説によると、藍染めの色の名前だけで48種類もあるとか。48種類もの色を作ることは現実的ではありませんが、それでも濃淡の間(前後左右)を求めることはしてみたい…と挑戦したのが今年の福袋の刺し子糸です。様々な色合いの藍染糸をランダムで選びお届けします。全く同じ色が欲しい…というご依頼を頂いても難しい色合いもあります。是非、2022年の草木染めの集大成を感じて頂けたらと思っています。

福袋に向けて準備した藍染め糸のサンプルです。

*「濃淡の間と前と後ろ」をテーマに、「再現性と継続性」も一緒に意識した藍染め糸5本セットは2023年に販売開始予定です(現在数セット準備しております。売り切れ次第、2023年分になります)。

*「染色をしない淳が無理難題を言うな」とお叱りを頂いたこともあるのですが、恵子さんの職人&作家気質と、私の商売人としての気質がSashi.Coの両輪だと思っているので、恵子さんと時には意見をぶつけ合いながら活動を続けています。

*「無番の刺し子糸」は2022年12月現在、在庫切れ(在庫調整中)です。来年の早い段階で、糸の整理をした上で販売再開ができたらと思っています。


いつでもどこでも刺し子を

2019年には当たり前だった遠出やちょっとしたお出かけ。2年超えのパンデミック期間を乗り越えて、今年は一歩「以前」に近づいたように思います。恵子さんも移動する機会が増えるでしょうし、私もまた約10年ぶりの日本帰国を予定しています。

雪に囲まれた集落の中で板張りの床の上で…、あるいは囲炉裏があるような古民家の一室で、コタツで足を温めながら針を持って…と刺し子に対して様々なイメージがありますが、基本的に4種類の道具と材料、「針と指貫と糸と布」だけで完結する刺し子は移動中の手仕事として、とても優秀だったりします。そんな「ちょっとしたお出かけや遠出の際にも刺し子を楽しみたい&楽しんでほしい」という願いを込めて、この福袋を作りました。

刺し子の装いをしながら(刺し子の何かを身に付けながら)、移動中に刺し子をする。そんな風景が日本中でみられるようになったら最高です。恵子さんが欲しかった針を落とさずに済むケースも、また小さなハサミもご縁を頂いて仕入れることができました。思いとお得を詰めた福袋になっていると思います。

このような一式が作れる材料をお届けします。詳細は販売ページをご覧下さい。

*刺し子糸は福袋の中には同封されておりません。初めて私共の福袋をご購入頂く場合は、刺し子糸も一緒にお求め頂けますと安心です。私たちの刺し子糸の一覧はこちらから

*巾着の作成、およびスカーフへのとても簡単な説明書きは福袋に同封(&ウェブサイト上でご紹介)する予定ですが、「自由に楽しんで頂く」が私達の根本にありますので、もしかしたら自由過ぎると感じられてしまうかもしれません。できる限りフォローアップ致します。また、初めての場合は「刺し子運針会」の受講をご検討頂けますと一層安心です。


運針を楽しんで欲しい(大きめの伝統柄に挑戦)

両手が埋まってしまうような大きめの藍染め布に、伝統的な幾何学模様の刺し子をしていると、「いつかそんな刺し子ができるように頑張ります」といったお言葉を頂くことがございます。大きな布に幾何学模様を刺そうとすると運針が基本になってくるので(運針をしないと多分辛くなってくるので)、まだ無理だと思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、基本的に「藍染め布と幾何学模様」は簡単です。個人的には可愛らしい一目刺しのふきんの方が難易度が高いとすら思っています。

とはいえ、ある程度の運針の練習も必要でしょうし、そもそも柄の準備も面倒だ(あるいはどうやっていいか分からない)といった場合もあるかと思います。幾何学模様は方眼と斜方眼と一緒に考えると、どんな柄も手書きが可能ではあるのですが、大量に刺し子をする場合は私も面倒だなと思ったりすることもあります。

少しでも気楽にある程度の大きさのある伝統柄に挑戦して頂きたいという願いから、柄印刷済みの藍染布と、私達がおすすめする運針をする為に必要な道具(糸、針、指抜き)をセットにした福袋を作りました。2023年から定番商品として販売を開始する予定ですので、気に入って頂いて、追加で布をお求めになる場合も大丈夫です!

*できるだけ柄の希望にお応えできるようにしたいとは思っているのですが、数に限りがある為、最終的にはランダムになってしまう可能性がある点、ご了承下さい。お会計時に柄の希望を書いて頂ければ、最大の努力を致します(その場合、発送が遅れてしまう場合がある点もご了承下さい)。

*印刷が強すぎると思われる場合は、印刷面に薄い布を当てて、アイロンのドライで少しプレスをしてもらうと、インクが少し薄くなります。(蒸気のアイロンは必ず避けて下さい。柄が消えてしまいます)。

*2023年に「刺し子運針会」の値段改定をする予定ですが、この福袋をご購入頂いたお客様には2022年の値段で運針会にご参加頂けるようにいたします。


去年の刺し子な福袋から

昨年末に販売した「刺し子な福袋 2022年に向けて」の一つに、「材料と仕立て券が入った福袋」がございました。こちらは長札入れ、もしくはショルダーバッグを作ることができる材料をお送りして、お客様ご自身に刺し子をして頂き、刺した布を恵子さんに返送して頂いた後に私共で仕立ててお届けするという新しい企画を試してみたものでした。それぞれの思いが詰まった刺し子布を、一つの作品として仕立ててお届けできていること、心より嬉しく思っています。1年前の福袋ですが、仕立て券の期限は特に設けておりません。職人さんの手が動く限り、仕立ては受け付けております。ただ、恵子さんとも話をしているのですが、職人さん(あるいは恵子さん)の体調が悪くなってしまうと仕立てにお時間を頂いたり、あるいはお断りをしてしまう場合があるかもしれません。そんな近い未来に起こることではないとは思っていますが、何があるか分からないご時世ですので、ご希望の方は早めに取り掛かって頂けると有難いなと思っています。

1年継続してみて、お客様のお喜びの声を頂くことができましたので、2023年からは「定番商品」として、こちらの仕立て券付きの材料セットを販売開始する予定です。既にご購入頂いている方々の仕立てが優先的にできるような形で進めて参りますので、もし2023年の早い段階で刺し子した布をお送り頂けるようであれば、ご連絡頂けますと幸いです。

*仕立てした作品をお届けしたお客様が、この文章を見ていらっしゃたらいいなと思いお願いがございます。もし可能であれば、恵子さんで仕立てた作品の画像を私までお送り頂けると嬉しいです。サンプルとして定番商品の説明欄に、あるいは「有効期限はないよー!」といったフォローアップのメールの際に使わせて頂けたらと思っています。


2023年も刺し子と皆様と素敵な時間が過ごせますように

様々な場所で言葉にはしているのですが、私は「刺し子の本質は祈りだ」と思っています。針に糸を通し、その糸を布に通していくという手仕事を何時間、何十時間も続けるには、「何かを考える」ことなしには行えません。私にとって祈りとは、そんな「何かを考える」ことだったりします。誰かのことを思うことが、言い換えると「関心と想像力を持つこと」が、今の私達にとって一番大切なことで、きっと刺し子は良い媒体(乗り物)になってくれるのではと思っています。

そんな「何かを考える時間」を2023年もみなさまと一緒に、刺し子をしながら共有できたら良いなと思っています。時には配信で、あるいはZoomの集まりで、そして普段の「(声は)繋がっていなくても(感覚は)繋がっている」という刺し子の運針のリズムの中で。本年も大変お世話になりました。2023年もどうぞよろしくお願いいたします。

二ツ谷淳&二ツ谷恵子

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