26人の麻の葉プロジェクト

26人の麻の葉プロジェクト(完)

2019年にふと思いつき、沢山の方々のご協力を頂いて一つの刺し子作品とすることができました。同じ柄で、好きな草木染め刺し子糸を選んで頂き、そして自由に運針を楽しんで頂いた、「26枚の麻の葉柄の刺し布」を繋ぎ合わせました。「26人の麻の葉プロジェクト」です。

*企画段階のご案内、「(仮)30人の麻の葉」についてはこちらから。


26人の麻の葉プロジェクト

毎週火曜日と金曜日、日本時間の夜11時頃からインスタグラムにて刺し子の配信をしております。他愛もない話をしながら、刺し子をするだけの配信なのですが、今までは「一人の時間」だった刺し子が、沢山のお友達と一緒に過ごす居場所になっているのがこの配信です。

その配信で、僕が思う「綺麗に刺し子ができる一番小さい麻の葉柄」の刺し子をしました。同時に、恵子さんの知人が刺し子をしてくれた同じ柄、同じ大きさの刺し子を拝見して、これほどまでに刺し手によって表情が変わってくるのかと思ったことが、この26人の麻の葉プロジェクトのきっかけになっています。

みんな違って、みんな良い。

「日常の針仕事だった刺し子において、正解も間違いも存在しない」とか、「刺し子は自由に楽しめばいい」と常日頃の配信でお届けはしているのですが、同時に「見本となる刺し子」や「どうしても優劣が付いてしまう刺し子」があることも承知しているつもりです。厳密に言えば、「好き嫌い(好みかどうか)」の違いだけなのですが、刺し子を始めたばかりの方には、その違いは大きなものになってしまうんだと思うのです。ただ、根本的な所で、「みんな違って、みんな良い」という刺し子の核のようなものをお伝えしたかったのです。

とはいえ、全く何も条件を定めないのも混乱を招くかと思い、僕が刺し子の中心核だと思っている「(指ぬきを使った)運針」ができる方を対象に募集を致しました。指ぬきを使った運針ができる方は、それほど「ひと針」に完璧主義的に拘る方は少ないと思っています。沢山針を動かす中での結果としての針目であって、一つ一つの針目を作る刺し子はされないのじゃないかな……と思ったのです。「ひと針にこだわる刺し子」が悪い訳では決してありません。ただ、最終的に一つの作品にする時に、この「運針のリズム」だけはある程度足並みを揃えておきたかったというのも本音です。

楽器が変わり、音色が変わることは良いんです。でも、表紙とリズムだけは合わせたい……。そんなイメージだったのは今だからこそ言える本音の思いです。そして結果は……素晴らしいものになったと自負しています。自負もへったくれも、僕は参加ができていないので(米国に居住中の為、布を送らなかったのです)、この作品を作り上げた恵子さんと、そして一枚ずつを刺して下さった26人の刺し手さんのチカラの結晶です。


孤独な作業であっても、一人ぼっちではないように

刺し子は孤独な作業です。誰かと一緒に刺し子をすることはあっても、二人で一緒に一つの布に刺し子することはできません(一人が布を持って、一人が針を持つというのは見たことがないのです)。ずーっと誰かと一緒にいるのは現実的ではなく、また刺し子そのものが日常の針仕事だったことを考えると、刺し子そのものが本来は孤独な作業だったように思います。

僕自身、配信を始める前は、基本的に刺し子をする時は一人でした。なかなか周囲に刺し子を楽しむ友達もできなかった為、やっぱり刺し子は孤独な作業だったのです。同時に、当時は孤独感も感じていました。まるで自分が一人ぼっちになってしまったかのように。

「孤独な作業であること」と「一人ぼっちであること」はイコールではありません。孤独な作業を楽しみながら、でも、どこかに属している感覚や、居場所があるという心強さは両立できると思うようになりました。それが配信であり、またインターネットを通して繋がることができる、新しい形のご縁です。

直接会った事もない26人の方が(一部は既に面識あり)、違う時間、違う場所、違う空間で、一つの作品を作り、また「制作するという居場所」を共有する。これが僕が目指している、「刺し子で作る居場所」なのかもしれないなぁと、とても嬉しく思っているのです。

「一人ではない」

時に人は、それだけで前を向けるので。


26枚の刺し布一覧

ご参加頂いた方のイニシャルと一緒にご紹介しております。順不同です。頂いた刺し子布を、恵子さんの感覚で繋ぎ合わせました。ありがとうございます。

恵子さんがパズルのように並べた配置図です。

26人の麻の葉プロジェクトの今後について

この麻の葉のタペストリーは非売品です。今後の予定&希望として、何かしらの展示会やコンテスト等に出典できたらと考えています。フレンドリーキルトのような形になるかもしれません。

また、10月の僕の帰国に合わせて行う予定の東京でのオフ会では、必ず実物をご紹介したいと思っています。26人の方の、全く同じ柄の、そして全く違う刺し子が一つになった作品を手にとって頂けたらと思っております。

第二弾と海外での開催について

恵子さんとも話をしていて、第二弾の開催も検討しています。26人の麻の葉に参加頂けなかった方や、知らなかった方、2019年後半より刺し子を楽しみだした方等にご参加頂けるような企画をご提案できれば良いなと思っています。次はしっぽうかなぁ……好きな円の大きさで……だとハチャメチャになりますでしょうか?自由な柄……という究極の実験の一歩手前としては、面白いような気はしています。

同時に、僕のいる米国を中心とした海外でも、同様の作品を作ることができたら良いなと思っています。こちらもハチャメチャな感じになりそうな予感もあるのですが、ある程度の条件をつけて、楽しく丁寧な企画になればいいなと思っています。

企画にご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。心よりお礼を申し上げます。こうして形として残せたこと、何よりもほっとしております。いつか、この作品を実際に手にとり、刺し子の素晴らしさを再確認して頂ければ何よりです。引き続き、どうぞ宜しくお願い致します。

担当:二ツ谷淳

「26人の麻の葉プロジェクト(完)」への2件のフィードバック

  1. 10月帰国の際のオフ会のときに見て触れることを楽しみにしています

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