運針会ジャケット(20)- 動

刺し子を日々楽しみ、刺し子について考え、またその思いをインスタグラムYoutubeで言葉にして、ご縁を頂いた方とは「刺し子運針会」という、運針をお教えする場所で一緒に刺し子を楽しむ。2015年に描いた夢は、予想よりも早く形にすることができていて本当に嬉しく思っています。その夢とはつまり、「刺し子を通して存在する居場所」です。その居場所の結晶(目に見える形)とも言うべき、「運針会ジャケット」のご紹介です。運針会ジャケット(20)の組み立てを開始いたしました。

運針会ジャケットって?

一言でまとめると「個性を持った刺し子好きな方々の針目を一つの作品として紹介するプロジェクト」です。私達がお伝えする刺し子には、定められた針目がございません。一般的な刺し子キットに同封されているような、針目の大きさが既に指定されたものではなく、目印となる線を追っかける形で、ご自身のリズムで針目を作って頂くのが私達の運針です。

どちらの刺し子が正解だとか間違いだとか言うつもりはありません。両方刺し子です。また、運針に関しても、「経験の差」はあれど、上手だとか下手だとかと上下関係を作れる指標があるものでもありません。針目を揃えるのは、運針ができるようになると、それほど難しくなく形にできます。リズムを感じた後の針目は、その刺し手の代弁者のようなものになります。だからこそ、刺し子には息吹を感じることができるんだと思っています。

そんな個性溢れる刺し子作家さんたち。同じ柄を刺して頂いた布を組み合わせることによって、一つのジャケットを作ろうというのが、「運針会ジャケット」プロジェクトです。

2018年以前に運針会にご参加頂いた方に刺し子をして頂き、形にすることができた「運針会ジャケット(18)」の完成報告記事は以下をご覧下さい。

コロナ禍の中で

2019年以前に、運針会にご参加くださった方にお声をかけて、一つの運針会ジャケットを作るつもりでいました。その企画(希望)は一度、コロナ禍の混乱と不安の中で白紙となってしまいました。その後、新しい日常と呼ばれる適応が求められる中で、なんとか2020年内に運針会にご参加くださった皆様も含めて、運針会ジャケット(20)の企画を始めることができました。

これまで運針会にご参加くださった皆様の有志の方に刺し子をして頂き、その個性溢れる美しい刺し子布を、二ツ谷恵子が一つの作品として仕上げます。麻の葉と籠目を貴重にしたシンプルなデザインに、白と赤系の草木染め糸を使い刺し子をしたもの。これを華やかな一枚のジャケットとして形にし紹介する事が私達の今の役目だと思っています。

非売品。でも、作れるという事実。

運針会ジャケット(18)も、今回作る運針会ジャケット(20)も、皆様の思いを預かるという意味合いから、販売はしておりません。非売品として展示会にてご紹介する予定です(コロナ禍が終わってから、展示会ができればと思っています)。同時に、同様のデザインのものは、「受注制作化」としてご紹介していく予定です。

刺し子の野良着は、現代でも作れます。過去のものだけではございません。そして、刺し子を任せられる人がこれだけ沢山いるんだという事実を紹介したかったのも、この運針会ジャケットの役目の一つです。

ここで紹介している運針会ジャケットの作品そのものは非売品ですが、類似品を制作する事は可能です。お時間を頂いてしまいますし、費用も何十万というものにはなってしまいますが、それでも形にすることは可能です。ご希望を頂ける場合は、是非お問い合わせ下さいませ。

刺し子をする人に、(少しでも)刺し子をすることへの報酬をお支払いすること。」当たり前の様な話かもしれませんが、この当たり前がもう既に現代では難しいことになってきています。あるいは既に過去のものかも知れません。

刺し子を趣味として楽しまれる場合は、そこまで深く考える必要はありません。生活の糧は他で確保した上での趣味ですから。ただ、文化として持続可能な循環を生み出すためには、刺し子を職人として仕事として受注して下さる人を、一人でも多く支えていく仕組みづくりが必要だと考えています。

この運針会ジャケットは、そんな果てしない次の目標への第一歩でもあるのです。

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